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眼下にミニチュアみたいな遊園地が広がっていた。唯一手に取れないと思うのは大観覧車。決して夜に呑まれない光が内から外へ拡散するのが、まるで花火だと思った。ああ今年は花火をしなかった。思い出したらやりたくなる。落ちようと思っていた少女はそれをやめ、その心を目の前の光に落とし預ける。
(「夜の遊園地」で登場人物が「落ちる」、「花火」という単語を使ったお話)

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電話を放り出して、同時に自分はソファに放り出して、そのまま一夜を明かしてしまった。目だって腫れている。不覚だと思った。でも、それを叱る人もいない。憎らしくてさみしくて、むかつく。だけどお腹がなって、もう太るのを気にする必要だけはないと気づく。思わず口に出ていた。「焼き芋たべたい」
(「朝のソファ」で登場人物が「自由になる」、「焼き芋」という単語を使ったお話)

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考え事をするのは断然夜が良い。きみが僕の方を向くのはいつだろうとか、そういう柄にもないことを考えるなら特に。この場所もいつかは緑が浸食して、美しい紅葉が見れるようになったりするかな。それまでには叶うかななんて、予想とも呼べない。やっぱりこういう色っぽいことは向いてないな、僕って。
(「夜の廃墟」で登場人物が「予想する」、「紅葉」という単語を使ったお話/成長レカード)

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彼女は特に朝が早い人ではないけれど、周りが忙しなくて起きてしまった。とは言えせっかくの休日、本を片手にソファに転がったところに着信。見慣れないライトはただ一人、その人からのメールを知らせるもの。彼女は不敵に微笑んだ。不器用で照れ屋な人、きっと私が返信しないと思っているのでしょう?
(「早朝のソファ」で登場人物が「幸福になる」、「メール」という単語を使ったお話
/学パログランとティーフェン)


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傾いた日がまぶしい。信じられない夕方まで寝過ごすだなんて!おかげで体調はばっちり。仮病なんて使いようもない、けど良いよね?「うん、風邪だったの。それはもう平気だけど」携帯を閉じて時計を見た。あと2時間もあれば来てくれるはずのあなた、あなたに会いたい病気だよって言えば許してくれる?
(お題忘失 たぶん「夕方のベッド」で登場人物が「嘘をつく」、「時計」という単語を使ったお話)

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気づいた時には後ろとか隣にいる存在が、もう恐ろしいとも感じなくなってしまった。無機質な紫の、ふたつのガラス。「邪魔だって言ってるのに。なんで来るのよ!」言っていなくなるようなやつじゃない。それもわかっている。あとはそう、私が踊るときだけその目を輝かせるっていうことも知ってる。
(アミー)

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明るいところで見たことがほとんどないから、表情さえ満足に知らない。ただ、彼女の中でいちばんきれいで、すてきで、すごいところを知っている。今日もこちらを見ることさえせず舞い踊る。くるくると、ひらひらと。軽やかで柔らかく、時に艶めかしく。なのにこの手を伸ばせば、風のようにつかめない。
(ラテュセ)

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輝く杖を手にしても、しょせんは武具に過ぎないことを知っている。祭壇の周囲の巨大な穴がどれだけの無辜の人々を吸い込んだのかも、わかっている。それでもあの場に立ってしまえば、私は聖者。「ついて来ないで、絶対よ」聖者と呼ばれる苦痛で狂った私が、あなたがたを落としてしまう。真っ逆さまに。
(題材[輝く,聖者,真っ逆さま,こないで]一次創作で)

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